平成30年度友の会文化事業の「国宝松本城と松代城跡の史跡探訪&講演ツアー」が2回にわたって行われ、合計81名の会員の皆様にご参加いただきました。
1回目 平成30年5月22日(火)~23日(水)
2回目 平成30年5月30日(水)~31日(木)
松本城講師 青木教司 先生
平成14年~平成23年松本城管理事務所研究専門員
NHK松本文化センター「古文書講座」講師
松本市立博物館古文書部会講師
長野県文化財保護協会理事
第1日目
このツアーに参加したほとんどの会員の皆様は、13:30の集合時間よりも早く松本駅に到着され、熱心にツアーの事前勉強をしていました。その姿を見ていたかのように、バスに乗車して間もなく約30ページにもわたる青木先生オリジナルの松本城講演資料が配布され、ほとんどの参加者が資料に目をとおしていました。
松本城に到着して、講師の青木先生と堀の周囲を歩き(写真1)、城内では雄大華麗な松本城を仰ぎ見ながら、城に関わる説明を受けました。
(写真1)
天守閣の中では、梯子のような急な階段を上りながら、普段聞くことができない青木先生の貴重な知識が披露されました。そして、最上階では青木先生の座学が行われました。(写真2)
(写真2)
講義の場所を松本城から、「みやま荘」の会議室に移し、スライドを使って座学が行われました(写真3)。
バスの中で配布された資料に基づき、近世城郭史から見た松本城天守に始まり、建築上の工夫、明治の大修理等々、松本城に関する青木先生が長年にわたって研究された成果を余すところなく説明してくれました。
(写真3)
座学の疲れは、1,300年の伝統を誇る浅間温泉で癒した後、信州の食材で彩られた夕食に舌鼓を打ちながら、当日初めて会った会員様同士で親睦を深めていました。そして、夕食後のひと時、ミニロビーコンサートが開催されました。(1回目は松本市在住の二胡演奏家)(写真4)
(写真4)
第2日目
歴史探訪ツアーのもう一つの目玉、松代城跡の前に第二次世界大戦の遺構「松代象山地下壕」の見学がありました。この施設は、本土決戦に備えて、国の中枢機関を移設するために作られた地下壕です。
現在は長野市が管理していますが、戦争遺構だけあって、詳しい資料が残っていないため、地元高校生の歴史研究グループが、代々の先輩たちが調べてきた資料や地元住民の声を拾い集め、研究活動を行っています。今回、これらの研究資料と手作りの図面や絵を用いて、地元高校生から地下壕の説明がありました。(写真5、6)
延々と続く地下壕を2キロメートルほど歩き、当時工事に携わった人々の苦労と厳しさを想像するとともに、研究活動を続けている地元高校生たちの情熱に感動しました。
(写真5)
(写真6)
続いて、松代城跡では、ボランティアガイドの方から、築城から真田家の歴史にいたるまでの解説がありました。(写真7)
「松代城(海津城)」は、北信濃を支配する上で軍事的・政治的に重要な拠点であり、武田氏滅亡後には、織田氏、上杉氏、豊臣氏、徳川氏が入城し、真田信之(真田昌幸の長男)がこの地に移封され、明治を迎えるまでの約250年間、松代藩真田家の居城として機能しました。なお、城の名前は、3代藩主 幸道の時に「松代城」と改称されました。
城は明治に入って廃城となり建物はなくなりましたが、真田邸とともに国の史跡に指定されています。実際、その場所に立って、解説を聞きながら周りを眺めると、戦国時代にタイムスリップした感じがしました。
(写真7)
今回のツアーの共同企画をした「みやま荘」支配人からの一言
解散後、参加者の何人かは、善光寺に行かれる方もいらっしゃいました。
今回のツアーは松本から長野と、信州の見どころをいっぺんに楽しむことができましたが、まだまだ見どころはたくさんあります。
会員の皆様からは、「何度も来ている場所だったが、講師やガイドの方々のお話を聞いて新たな発見ができて良かった」といったご感想をたくさんいただきました。
これからも地元愛にあふれる講師を用意して、今までとは違った信州を発見する旅を企画していきたいと思っております。
平成29年度にはじめて実施した「ウオーキング教室」は、たいへん好評で「来年度も実施してほしい」とのご意見をいただいたことから、今年度は2回実施することとなりました。
今回はその第1回目として、平成30年9月27日(木)、「日光・滝尾の路(たきのおのみち)」約6.5キロのコースを歩きました。当日は19名の方にご参加いただきました。
9時30分に日光市郷土センターに集合。10時30分から1時間程度「歩き方教室」を行いました。(写真1)
講師は今年度も、一般財団法人日本ウオーキング協会の健康日本ウオーキング指導士、西田富美子先生です。(写真2)
(写真1)
(写真2)
12時からウオーキングを開始です。
午前中はあいにく小雨でしたが、皆様準備よく、合羽を着用しています。(写真3)
(写真3)
神橋、輪王寺、開山堂、白糸の滝、滝尾神社を経て子種石へ。ここまで約3.5キロ、1時間30分。ここでシグナルストレッチ。行者堂の前で記念撮影です。(写真4)
(写真4)
小休止のあと、日光二荒山神社、輪王寺を巡り、午後3時、日光郷土センターに戻りました。疲れを残さないよう、入念にクールダウン・ストレッチングを行い、解散となりました。
前半あいにくの天候でしたが、皆様最後まで元気に世界遺産の地を歩いていただきました。お疲れ様でした。
今回も「もっと実施してほしい」とのご意見をいただきました。今年度もう1回「皇居周辺」で実施しますが、来年度もご期待に沿えるよう検討いたします。
平成30年11月15日(木)、今年度第2回目のウオーキング教室を実施しました。
昨年度好評で、今年度は2回実施することとなりましたが、今回もたいへん多くのご応募をいただいたことから、急きょ定員を増やし、当日は47名の方にご参加いただきました。
今回のコースは、「皇居・東御苑周辺」約7キロです。
9時45分に北の丸公園に集合。10時から40分程度、北の丸公園の芝生で「ウオーキング教室」を行いました。テーマは「姿勢と美しい歩き方ワンポイント」と「靴の履き方」。講師は今回も一般財団法人日本ウオーキング協会の健康日本ウオーキング指導士、西田富美子先生です。(写真1は「靴の履き方」。これは効果的です。)
(写真1)
なお、今回は多数ご参加いただいたので、安全確保のため参加者を2グループに分け、西田先生はじめ4名の指導員と友の会のスタッフ3名が分かれて各グループに付き添いました。
11時、ウオーキング出発。快晴で絶好のウオーキング日和です。(写真2)
(写真2)
千鳥ヶ淵から憲政記念館まで約2.2キロ。早めの昼食後、二重橋を経て大手門へ、ここまで約4.3キロです。大手門から本丸跡へ入ります。(写真3)
(写真3)
ここで休憩とシグナルストレッチを行います。平川門を抜けて、午後3時すぎ、約7キロを踏破し、ほぼ予定どおりゴールの千代田区立スポーツセンターへ到着しました。お疲れ様でした。同センターの柔道場で、入念にクールダウンのストレッチを行い、解散となりました。(写真4)
(写真4)
今回は多数ご参加いただき行き届かぬ点もあったかと思いますが、ご参加の皆様の秩序ある整然とした行動で、無事に歩き終えましたことに感謝いたします。
来年度も引き続きご期待に沿えるよう、鋭意検討しております。ご期待ください。
(写真5.最前列右から4人が日本ウオーキング協会の指導員)
今年度の友の会歴史教室・京都は、Aコース「武将たちに愛された神 ──石清水八幡宮を特別に巡る日」とBコース「足利尊氏と夢窓疎石の「禅」──嵯峨・天龍寺をまるごと学ぶ」の二回を開催しました。
◎Aコース 「武将たちに愛された神 ──石清水八幡宮を特別に巡る日」
開催日程:平成30年10月17日(水)
今年度は、ライトアップされた本殿の参拝を企画したことにより、午後から石清水八幡宮において、座学と散策を行いました。座学は皇學館大學特別教授の櫻井治男先生をお迎えし、「地域と神社の関わり、武将の祈り」というテーマで、地域共同体や私たちの精神がどのように氏神と結びついているのか、神社の多様さと年中行事の視点から学びました。
さらに石清水八幡宮禰宜の西中道さまより神社の歴史や社宝についてお話しいただきました。
皇學館大學特別教授の櫻井治男先生の座学
石清水八幡宮禰宜の西中道さまのお話し
散策では、武将の書状やご神像などの貴重な社宝を鑑賞し、境内をご神職さまの案内で巡ったのち、最後はライトアップされた本殿にて貸切の特別参拝を行いました。
月夜に浮かぶ本殿の神々しさに圧倒されました。
月夜に浮かぶ本殿の神々しさに圧倒されました。
石清水八幡宮 境内の隣に「エジソン記念碑」
ライトアップされた石清水八幡宮本殿
◎Bコース「足利尊氏と夢窓疎石の「禅」──嵯峨・天龍寺をまるごと学ぶ」
開催日程:平成30年10月18日(木)~19日(金)
初日は京都駅前の「キャンパスプラザ京都」で座学を行いました。講師に臨済宗方広寺派管長の安永祖堂先生をお迎えし、「足利将軍家の禅、その精神と文化」というテーマで、日本における禅の歴史や足利将軍家の禅文化についてユニークな語り口でお話しいただきました。
臨済宗方広寺派管長の安永祖堂先生の座学
翌日の現地散策では、足利尊氏が建立した天龍寺に集合し、曹源池庭園を臨む方丈で天龍寺宗務総長の田原義宣師の法話をお聞きしたのち、法堂の加山又造筆・雲龍図を拝観し、お坊さまのご案内で通常非公開の天龍寺塔頭・宝厳院や、夢窓疎石が入寂した臨川寺を巡りました。秋晴れの中、ふだんは見られない特別な天龍寺を体験しました。
天龍寺宗務総長の田原義宣師の法話
天龍寺別院臨川寺の庭園
天龍寺塔頭・宝厳院の庭園「獅子吼の庭」を眺める
平成30年度最初の友の会文化事業として、歴史散策「神々の国出雲の史跡探訪&講演ツアー」が行われ、76名の会員にご参加いただきました。
平成30年5月7日(月)~8日(火)
第1日目(5月7日)
あいにくの雨でしたが、バス2台に分乗し、先ず弥生時代の王墓群「西谷墳墓群」を見学しました。ここの古墳は方墳の四隅が舌のように伸びた形の「四隅突出型」で、「前方後円墳」とは全く趣が異なります。
棺に敷き詰められていたという真っ赤な水銀朱の様子が再現されています。(写真1)
(写真1)水銀朱の解説をする平野先生(写真左)
次に、出雲古代史博物館で13世紀の出雲大社の巨大な柱の一部や銅鐸などを見学しました。この頃の出雲大社本殿は現在の倍、約48メートルの高さだったそうです。(諸説あり。)
このあと、出雲大社を参拝し、「荒神谷」へ向かいます。ここは、昭和59年、358本もの大量の銅剣が出土したところです。これは、弥生時代の見直しを迫る世紀の発見でした。このツアーには、考古学者の松本岩雄先生と平野芳英先生が同行されました。松本先生は荒神谷で最初に銅剣を発掘した方で、平野先生もこの発掘に携わった方です。
公立学校共済組合松江宿泊所「サンラポーむらくも」へ戻り、講演会です。松本先生から古代出雲をめぐるお話など、わかりやすく解説していただきました。(写真2)
講演会のあとは、楽しい懇親会です。全国各地から同好の会員が集まり、話ができることも、このツアーの楽しみです。
(写真2)松本先生の講演を受講するみなさま
第2日目(5月8日)
この日は、6世紀中頃から7世紀にかけて作られた出雲地域東部の代々の首長墓の一つ、山代二子塚古墳に向かいます。このあたりは古墳が集中していて、出雲版王家の谷と言われています。山代二子塚古墳はなかでも最大の前方後円墳で、大首長の墓と考えられています。うっそうとした森の中の急勾配を登ると古色蒼然とした神社がありました。「神魂(かもす)神社」です。本殿は日本最古の大社造りで国宝です。小規模な出雲大社のようです。(写真3)(写真4)
(写真3)神魂神社の参道
いかにも神域といった空気感があり、古代に迷い込んだ気持になります。現在出雲大社宮司となっている出雲国造家が25代まで奉仕した格式高い神社だそうです。
(写真4)神魂神社
このあと、八雲立つ風土記の丘(写真5)や、六所神社(出雲地方で神有月という陰暦10月、全国の神々が先ずここに集まったと伝わる。)を巡り、出雲国府跡で往時の繁栄を偲んで、全日程を終了しました。
(写真5)岡田山1号墳
会員から、「出雲を訪ね、地元の専門家から解説してもらい、たいへん充実した旅になりました。またこのような企画があれば同好の会員に再会したいと思います。」とのご感想を頂戴しました。
ご参加ありがとうございました。
今後の歴史散策プランにもご期待ください。
「友の会講演会(埼玉会場)」のお申し込み受付は終了しました。