公立学校共済組合友の会

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ミニ対談

平成29年度の講演会の開催に先立ち、
今年度の第二部の講演にお招きした立川らく朝氏と友の会理事長の対談をご紹介します。

立川らく朝 氏 × 友の会鈴木理事長 対談

好きが高じて

鈴木

今年度の講演会では、立川らく朝師匠に「笑って健康、笑って長生き」をテーマにお話いただくのですが、師匠はお医者さまからプロの落語家へという珍しい経歴をお持ちですが、きっかけは?

らく朝

落語が好きだったんですね。高校時代は新宿の末広亭に入り浸り。高3の文化祭で落語をやったらウケちゃいまして。

鈴木

これは才能があるな、と(笑)。

らく朝

いえいえ。で、大学に入って落研を作り、高座に上がってウケた快感が、ね。

鈴木

先生方もご心配だったでしょう。

らく朝

まぁ留年もせず国家試験を受けまして。発表までの10日間は落語か医者かで悩みましたが、受かれば「研修だ」、「論文だ」、で忙しく、気づけば40過ぎ。それでも悩んでましたね。

鈴木

聴診器持ちながら落語がやりたいなぁ、なんて(笑)。

らく朝

いえいえ、さすがにそれは(笑)。でも落研仲間と吞むと愚痴るわけですよ。そしたら後輩が談志の本をくれまして、そこに「あなたも落語家になれる」って書いてあったんですよ。すぐに電話しまして。そしたら「それ15年前の話ですよ」って。

医師から落語家へ

鈴木

まるで、落語ですね(笑)。

らく朝

でも、立川志らくの勉強会があるよってんで、また落語を始めたら、火がついて。弟子入りを願い出たら、事務所の社長が「無理ですよ」。

鈴木

お幾つで?

らく朝

44です。余程がっかりして見えたんでしょうね。志らくが客分扱いの弟子ならって言ってくれまして。らく朝の名前をいただきました。

鈴木

立川らく朝、誕生ですね。

らく朝

稽古に通って1年で50本位上げた頃、社長に呼ばれて「プロでどうだ」。

鈴木

「無理ですよ」って言った張本人が(笑)。

らく朝

ええ。でも、プロとなると医者を辞めなきゃならない。収入はゼロになる。返事ができずに悩んでいたら、志らくが「どうすんの?」って。反射的に「お願いします」って。

鈴木

収入ゼロですよ。

らく朝

だから思わず「午前中だけ仕事させて下さい」って。そんなこと通らない世界ですよ。でも、志らくが鞄持ちは免除しましょう、それ以外の前座の仕事をちゃんとすれば仕事をしていいですよって言ってくれて。

鈴木

大きな転機でしたね。

らく朝

46歳でした。

笑いの効用

鈴木

健康落語はどんなきっかけで始められたのですか?

らく朝

医師会なんかの健康講演会でヘルシートークをやってたんですけど、そういうところへ来るのは健康オタクの方々なんです。

鈴木

もう何でもご存知の方々で(笑)。

らく朝

そう。本当に聞いてもらいたい人へどうやって話を届けるかを考えたところ。

鈴木

ここは落語だと。

らく朝

ええ、人を集める最大のツールは「笑い」なんですね。で、自然と健康落語が生まれたんです。

鈴木

そうですか。

らく朝

よく「笑い」を取ろうとしてすべっちゃう学校の先生もいらっしゃいますが、いいと思うんですよ。生徒たちは分かってます。きっと「いい先生だな」って思ってますよ。

鈴木

確かに「笑い」は人を引きつけますね。学校の先生もそうなんですよ。「笑いの教育効果」っていう論文を書いた人もいるくらいでしてね。力のある先生は生徒の答えがズレていても、無視したり違うと怒ったりしないんですよ。それをすくい上げて、広げて、何で間違ったかなとみんなで考えて、和やかに笑いがある授業をされるんですね。

らく朝

大勢の生徒たちをマニュアル通りに1つの方向へ持って行こうとするのではなく、もっと一人一人でいいんだよって時代になればいいなぁと思いますね。

鈴木

答えは必ず1つという授業から、答えがないかもしれないという授業へね。

らく朝

それ、素敵ですね。

鈴木

もう1つ、私が「笑い」で思い出すのは、私の恩師を囲む会がありまして。みんな年を取ったので、「先生、僕たち誰が誰だか分かりますか?」って聞いたら、「笑顔を見れば、分かるよ」って。「笑顔が子供の頃の一番自然な顔だからね」って。

らく朝

学生時代、笑わなかった奴は思い出してもらえませんね。

鈴木

そうですね(笑)。でもいい話でしょう?

楽しまなくっちゃ!

鈴木

講演会へいらっしゃるOBの方々へ、メッセージをいただけますか。

らく朝

とにかく「楽しむ」っていうのが大切ですね。楽しむために外へ出ると、運動になるし、人とのコミュニケーションも生まれます。

鈴木

「いきいき人生」の投稿を読んでいても、楽しんでいる方は80代、90代でもお元気ですよね。

らく朝

脳内ホルモンってのが出るんですね。ベータエンドルフィンは抗鬱に。ドーパミンは達成感が。セロトニンは安心感が得られる。笑うとコレがバンバン出るんですよ。生活習慣病にもいいでしょう。リタイアしてからこそ楽しまなくっちゃ!

鈴木

では、今回の講演会の師匠の創作落語で皆さんに笑っていただいて。

らく朝

ええ、関東の「幽霊将棋」も関西の「合コン老人会」もどちらも認知症がテーマの創作落語です。認知症がご心配な方はぜひお運びください。

鈴木

落語を楽しんで、認知症を予防する。笑って健康、笑って長生きですね!

立川 らく朝 氏(落語家、医学博士)

長野県飯田市生まれ。1979年、杏林大学医学部卒業。慶応義塾大学医学部内科学教室へ入局。慶応健康相談センター(人間ドック)医長を務める。学位論文は「脳血管障害におけるLDLコレステロール代謝の異常について」。学生時代には、落語研究会に所属。卒業してからも医師の仕事の傍ら、OB会などで落語と関わっていた。1998年、44歳の時に立川志らくの客分の弟子となる。2000年3月、46歳で医師をやめプロの落語家として立川志らくに正式に入門した。前座名・らく朝。2004年4月、二ツ目になり、2015年4月落語立川流真打トライアルにて真打昇進決定。同年10月、真打に昇進した。

立川 らく朝 氏

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