五月末の結婚記念日に、毎年、関東にいる三人の子どもたちからメッセージが届く。一枚のカードを順に郵送して各自が書き込んで送ってくる。まず、その手間がかかっていることに感動を覚える。妻は私たちが出会ってからもう五十年経つという。結婚以来、けんかをした記憶は二回だ。仲が良いらしい。驚くことに昨年の国内の婚姻数は約49万組、離婚数は約19万組だという。約四割近くが離婚することになる。最近、私の十八歳頃の日記が見つかり、読むと病弱だった私の孤独の訴えがしきりと目に付く。今の家内に十九歳で出会えたことが、心が寄り添える相手ができた嚆矢だったと思う。
子どもたちは、私たちが「仲良くアグレッシブに活動しているのが嬉しい」と、それに応えて、「寛容と忍耐が、その秘訣だよ」とLINE(ライン)で送る。
定年退職後、私が妻と一緒に施設や老人クラブ等で、フルートの演奏と講話をしているからだ。色々な場面での演奏があるため曲目を選び、セットリストを作り、そして「面白くてためになる」話のネタの収集に余念がない。日ごろは保育園にいて、子どもたちと接するのが楽しみでもあり、貯筋になっている。
私は単身赴任が多く、子どもたちの授業参観や発表会・運動会などの行事にはまったく参加したことがない。それはいまだに忸怩たる思いがある。しかし親孝行の子どもたちに育ってくれて嬉しい限りである。