以前勤めていたU児童センターの所長さんから次のような電話があった。「U小学校を卒業した専門学校生のTさんが児童センターで実習をしたいと言って来館しました。「当時の校長先生は」と聞いたら先生の名前が出てきました。担任の名前が出てくるのは普通でしょうが、校長先生の名前まで出てくるとは驚きでした。九月〇日から二週間の実習ですので、都合の付くときに会ってみたらどうですか。」と。それからU小学校時代のTさんに関することを思い出してみた。私の郷里からの転校生であったこと、二、三歳離れた妹もいたこと、背が大きい五年生であったような・・・と。さらには、「あれ?そう言えば、年度途中で苗字が変わったような・・・」ということまで思い出したのである。これらの予備知識をもって、一か月後の実習生活を覗きに伺った。一目見た瞬間、思い出していた顔であった。小学校五、六年の頃の思い出話に花を咲かせた頃、Tさんは「校長先生が全校朝会で話してくださったことを今でも覚えていますよ。特に『ふわふわ言葉とちくちく言葉』のことは。」と言った。そういえば現職の頃、「子どもに叱られました。お母さん、それはちくちく言葉というんだよ。」と話してくれた母親がいたっけ。ひょっとして、Tさんのお母さん?教師冥利を心から味わって帰宅の途についた一日である。